取引先責任者の重複を甘く見て後悔した話:Salesforce管理者の失敗談

account managementで実際にやらかした判断、それは取引先責任者(Contact)の重複ルールを甘く設定したことだ。

当時は「とりあえず登録」を優先した

プロジェクト立ち上げ初期のSalesforce導入時、営業部門からの強い要望は「とにかく早く取引先責任者を登録できるようにしてほしい」だった。当時の私はSalesforce管理者として、その要望に応えるべく、標準の重複ルールを非常に緩く設定してしまった。具体的には、姓名と会社の名称が完全に一致しない限り、重複とみなさない設定だ。

「厳しすぎるルールは現場の登録工数を増やし、定着の妨げになる」という漠然とした不安があった。また、「最悪、重複しても手動でマージすればいいだろう」という安易な考えもあった。

営業の「これ、どっちが正しいの?」という悲鳴

導入から半年も経たないうちに、組織内で「取引先責任者が重複しすぎている」という問題が表面化した。営業担当者からは「同じ人なのに2件も3件もContactレコードがある。一体どっちとコンタクトを取ればいいんだ?」という悲鳴が上がり始めた。

  • メールアドレスが違うだけの同姓同名
  • 部署名だけが微妙に違う同姓同名
  • 旧姓と新姓で登録された同一人物
  • 名寄せされてない漢字・ひらがなの表記ゆれ

これらの重複が横行した結果、レポートの集計値もめちゃくちゃになり、マーケティングからのメール配信リストも正しく機能しなくなった。データの信頼性が地の底に落ちた。

手動マージ運用の限界

問題が顕在化した後、まずは手動での重複マージ運用を試みた。月に一度、特定のメンバーが重複レポートを確認し、Salesforceの標準機能である「取引先責任者のマージ」を実行する、という運用だ。

しかし、これはすぐに破綻した。手動マージは想像以上に手間がかかる。特に、重複したレコード間の関連リスト(活動履歴やファイルなど)を確認し、どれをマスターとするか判断する作業は、非常に属人的で時間のかかるものだった。月に数百件規模で発生する重複データに対して、この運用は全く追いつかなかった。

何より、手動マージは根本的な解決策にはならない。重複は常に新しいデータと共に生まれ続けるからだ。

今なら別の選択をする

もし今の私なら、当時のような安易な設定は絶対にしない。当時は情報も経験も不足していたが、今は少し賢くなったと信じたい。

まず、導入初期段階でより厳密な重複ルールを設定する。具体的には、以下の項目を組み合わせることを検討するだろう。

  • 姓 + 名 + 会社名
  • メールアドレス
  • 電話番号(必要であればフォーマットを統一)

これらのルールを「アラート」ではなく「ブロック」する方向に寄せる。多少の登録工数増加は、後のデータ品質低下による機会損失と運用コストに比べれば、はるかに小さい。

また、Salesforceの標準機能だけに頼らず、AppExchangeで提供されている重複排除・名寄せツールも積極的に検討する。当時は「コストがかかる」という理由で見送っていたが、重複データがもたらすビジネス上の悪影響を考えれば、そのコストは投資に値する。

さらに、自動マージフローの導入も視野に入れるが、これは慎重に設計する。特に、マージ対象となるレコードの選択ロジック(最終更新日、活動履歴の有無など)は、ビジネス要件を深く理解した上で決める必要がある。安易な自動化は、誤ったデータを生成するリスクもあるからだ。

あの時、もう少し踏み込んで、データ品質の重要性を現場に訴え、適切なルールとツールを導入していれば、どれだけの時間と労力が節約できたか。これは当時の自分向けのメモだ。

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